スモークフリーコラム

スモークフリーコラム

日本と比べて、世界各国の喫煙への対応はこんなに差がある

笹川陽平

 前コラムで掲げた文言は、たしかに、それ以前の「健康のため、吸いすぎに注意しましょう」「喫煙マナーを守りましょう」と比べると、進んだように思えます。
 しかし、先進諸外国に比べるとこの程度では甘すぎます。WHO(世界保健機構)のブルントランド元事務局長は「タバコは殺人鬼だ」と公式発言していたからです。
 先進国のパッケージには目をそむけたくなるような写真が使われ、次のような文言で警告されています。

(1)EU
 まずEUからですが、パッケージの面積の30%に警告文つきの写真を載せることが義務づけられており、文字の色は白と赤の二色で目立つようになっています。
①顔を白い布で覆った死体置き場の男性に「喫煙者は早死にする」の警告文
②手術中の写真に「喫煙は動脈を詰まらせ、心臓発作や脳卒中の原因となる」
③健康な肺とニコチンで茶褐色になった肺がんに冒された肺の比較写真に「喫煙は致命的な肺がんの原因となる」
④鉄格子をつかんでうつむいているニコチン依存症患者の写真に「喫煙は依存症が強い。始めないように」
⑤歯がボロボロで、舌が変色した口のアップに「タバコの煙はベンゼン、ニトロサミン、ホルムアルデヒド、青酸ガスを含んでいる」
⑥首にこぶし大の腫瘍が露出した男の写真に「喫煙は長い苦痛を伴った死の原因となる」

(2)カナダ
カナダでは、両面に同じ写真を使い、英語とフランス語の注意書きが記入されています。
①肺がん状態の肺の写真に「喫煙は肺がんを引き起こす」
②灰皿からあふれたタバコの吸殻に「置きタバコは命を危険にさらす」
③歯周病患者の口のアップに「喫煙は歯周病の原因となる」または「喫煙は強い依存症をもつ」
④煙が立ち上がっている写真に「タバコの煙があるところに青酸ガスがある」

(3)ブラジル
①胎児の死体の手前にタバコの吸殻が置かれた写真に「タバコ製品の犠牲者」の警告文
②手術で開胸された心臓の写真に「梗塞部」
③後頭部がざっくりと左右に割けて血が流れている写真に「危険」
④喫煙者の写真に「ニコチンは薬物の一種で依存性を持つ」
⑤たくさんの管をつけた衰弱した入院中の患者の写真に「喫煙は肺がんの原因になる」
⑥ホルマリン漬けの胎児の写真に「喫煙は流産の原因となる」

 アジアでは、タイやシンガポールなども写真入りで、同様の警告文をパッケージに入れています。
 わが国では、財務省の委託を受けて「社団法人新情報センター」が2007年にパッケージの注意書きに関するアンケート調査を実施しています。調査対象は中学生以上の男女で、喫煙者と過去2年まで遡り喫煙をやめた人で、回収サンプル数は約2500人でした。
 それによると、パッケージの注意書きが「タバコの悪影響をよく伝えている」「伝えていると思う」と答えた回答が7割強もありました。
 ところが、その文言を読んでタバコをやめた人は1割、本数を減らした人は3割程度しかおらず、残る6割強は減っていないと答えているのです。このことをみても、注意書きが甘すぎることを物語っています。
「タバコをやめた」と一番多く答えた年代は10代で、全世代の約2割もいました。このことは「タバコの恐怖」をもっと教えれば喫煙に走らなくなる可能性が高いということです。
 日本のタバコのパッケージも、EUなどのタバコ先進国のようなタバコによる健康被害を表す写真を使い、「喫煙を続けると死にます」といった文言に変える必要があります。

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