スモークフリーコラム

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喫煙者は「臭い」「汚い」「嫌い」の3Kマン

笹川陽平

 私は入浴が大好きというわけではありませんが、清潔さを保つために毎日入浴しています。毎日入浴するようになったのは、家内に「2日風呂に入らないと臭いわよ」と言われたのがきっかけです。最近よく耳にするようになった「加齢臭」というやつでしょう。

 少し理屈っぽく書くと、人間の皮膚の表面には脂(あぶら)けがありますが、これは皮脂腺を通じて体内の脂肪が滲み出ているからです。その脂肪に含まれる脂肪酸という物質が酸化して臭いの元になるそうですが、40代を過ぎると、脂肪酸の酸化つまり「活性酸素」を抑える力が弱まり、ノネナールと呼ばれる物質を発生させます。

 これが加齢臭です。活性酸素は、心筋梗塞、脳卒中、がんなどの生活習慣病を誘発します。同じ年齢でも男性より女性の方がホルモンの関係で臭いが弱く、また化粧品の香りなどもありあまり気にはなりません。

 加齢臭は、飲酒、偏食、運動不足、ストレスなどでも強くなりますが、最も大きく影響するのがタバコです。喫煙すると体内の活性酸素が増えて、加齢臭が強まるのです。

 この加齢臭にタバコお臭いが重なると、さらに異臭を放ち、周囲の人はたまったものではありません。タバコの臭いは毛髪や衣服にしみつくので、電車やバスのような密閉された空間では特に嫌がられます。

 タバコの臭いは、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の3つを主成分とする複合臭です。

 その複合臭の一つとなっている添加物のアンモニアは、し尿のような臭い、酢酸は酸っぱい臭い、アセトアルデヒドは刺激臭があります。

 これら以外にもさまざまな異臭を放つ物質が入り混じって、複雑な刺激臭を放っているのです。

 タバコの煙は、目に見える「粒子状の物質」と、目には見えない「ガス状の物質」の2つから成り立っています。

 粒子状の物質、ニコチン、ベンゾピレン、カドミウム、タールなどで、それらの多くは発がん性物質であり、肺に沈着します。

 もう一つのガス状物質の方は、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、アンモニア、酢酸などで、発がん性のあるものが含まれており、呼吸器障害を引き起こすこともあります。

 粒子状およびガス状物質のうち最も体に悪いのは、ニコチン、タール、一酸化炭素で、これらは「タバコの3悪」と呼ばれています。以下に、その理由を説明しましょう。

 ニコチンには猛毒があるだけでなく、タバコの習慣性をもたらす最大の元凶です。タバコを吸い終わって30分から1時間もすると、体内のニコチンが減って一種の禁断症状が現れ、イライラやだるさなどの症状を感じ、またタバコを吸いたくなってくるのです。

 神戸市医師会は、ニコチンは「覚醒剤」のような作用を生じさせるとし、「タバコに含まれるニコチンは、神経に働く物質で脳には覚醒剤として働き、身体依存性を生じさせ、離脱を困難にします。実は、喫煙者はこのニコチンの薬理作用を求めてタバコを吸うのです」とホームページで紹介しています。

 ニコチンには、交感神経を刺激する作用があり、末梢神経が収縮して血流が少なくなるので、タバコを吸わない人に比べて全身の血流が悪くなり、血圧が上昇したり、血管の老化を促進させてしまいます。

 また、ニコチンには体内のビタミンを奪う作用もあります。
 ビタミンCは、ビタミンAやEとともに活性酸素を除去する抗酸化剤の代表格です。シミやソバカスを目立たなくする働きはよく知られていますが、それ以外に次のような働きを持っています。

 悪玉コレステロール値を下げる。白血球の働きを高めると同時に、免疫力を高めて風邪などの感染症に対抗する。コラーゲンの生成を助けて、肌のツヤやハリを保ち、血管や骨を丈夫にする。アドレナリンの生成を助け、ストレスをやわらげる。痛風の原因となる尿酸を関節から除去する。

 タバコを吸うと、これらの働きが弱まったり、なくなってしまうのですから大変です。

 次にタールですが、タールには強力な発がん性物質があり、1日に20本タバコを吸うと、1年間でコップ半分くらい(40~110g)の量となり、肺がんを誘発します。肺がんは、各種のがんの中で1989年に胃がんを抜き、死亡者数トップになりました。  一酸化炭素は、「一酸化炭素中毒」という言葉からわかるように恐ろしい物質で、血液中の血色素と結びついて体内を軽い酸欠状態にし、血液の流れを悪くします。血液の流れが悪くなると顔にシミ、ソバカス、黒ずみ、小じわができやすくなり、肌の老化が10年から20年早まるといわれており、さらには動脈硬化や心臓病の発生を誘発するおそれもあります。

 先に紹介した神戸市医師会は、ホームページ上で次のような疑問を投げかけています。

「タバコ煙の成分分析についての正式なデータが厚生労働省のサイトにあります。明らかに発がん性物質であるベンゾピレン、ベンゼンなどの有機化合物やニトロソアミン、一酸化炭素、シアン化水素、窒素化合物、アンモニアなど有害物質がずらりと表に並んでいます。これを見るだけでもなぜ今でも『タバコ』が嗜好品として合法的に販売されているのか疑問です」

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