スモークフリーコラム

スモークフリーコラム

タバコが開ける非行の窓

一般社団法人スモークフリージャパン 松沢しげふみ

青少年の非行の大きな原因は、一に夜間徘徊、二に喫煙といわれています。
コンビニの前でたむろしたり、夜遊びをする中学生や高校生にはタバコを吸っている子どもを多く見かけます。タバコを吸い、酒を飲んで、大人の気分や社会のルールを破るスリルに浸るのです。

日本では、伝統的に飲酒喫煙に寛大な国民性があるようです。かつては、軽微な犯罪ならば「すみません、酒を飲んでいて覚えていないのです」という言い訳が通ってしまっていたのも日本ならではのことでしょう。

そして、「自分だって、若いときからどっちもやってきたけれど、ちゃんと立派な大人になった」と自慢げに話す人が大勢います。そして、青少年の飲酒や喫煙も、少しぐらいは大目に見てやってもという大人がまだまだ多いのです。

未成年の飲酒や喫煙は犯罪行為です。それは何より、青少年自身の発育にとって重大な悪影響があるからなのです。ところが、禁ずるべき大人が寛容であるため、彼らが「少しぐらいなら許される」と、法律を破ることに慣れてしまうのです。

そうなると、後は坂道を転がるように犯罪行為がエスカレートしていきます。飲酒や喫煙で法律を破ることに無頓着になり、その後、麻薬などの薬物に手を出すなど、非行に走る例は、我々の想像以上に増えているのです。
ですから、飲酒や喫煙の段階で食い止めないと、非行少年の増加を止めることができないことになります。

そこで、神奈川県では、平成18年に、タバコやお酒を販売するときには、必ず証明書などで年齢確認をしてから売ることなどを事業者に義務付ける「青少年喫煙飲酒防止条例」を制定しました。成果はだいぶ出てきて、コンビニなどでの年齢確認が徹底されるようになりました。

外国の例を見ると、未成年は、お酒が飲める店に入ることさえ禁止している国があります。私の知人は、カナダに留学していた高校生の息子を訪ねたとき、お酒を提供しているからという理由だけで、レストランへの入店を断られたとびっくりしていました。

笹川会長は、「学校もPTAももう少ししっかりして、子どもに吸わせないようにしなくてはいけない。それにはもう値段を高くする以外にない」と言っておられますが、まさにそのとおりです。

タバコの価格は未成年の喫煙率に直接跳ね返るので、たくさんの子どもたちが喫煙をやめると期待されています。
最近は、学校でも喫煙の害を教えるようになってきました。

神奈川県は、中高一貫の県立学校として、平成21年度に平塚中等教育学校を設置しました。この学校では、保健体育の授業の中で「タバコの害」について教えています。

私は、知事時代、「マンスリー知事学校訪問」と銘打って、月に一度は学校現場を訪問しており、この学校を実際に訪問しました。私が学校訪問で行ったときには、先生がスクリーンに映像を映し出して、喫煙の害について説明していました。

先生が、「心筋梗塞や脳梗塞など、タバコが原因となる病気について、かなりわかったと思います。みんなはタバコを吸わないけれど、タバコがみんなの体にどれだけ影響するかということはわかりましたか?」と尋ねると、生徒はそのたびに大きく頷き、特に先生が、「タバコを吸う人の寿命は吸わない人に比べて、10年短いといわれています」と説明したときには、生徒たちは大きな驚きの声を上げていました。

このように、子どものうちから、タバコが健康に及ぼす悪影響についてきちんと勉強し考える機会をつくることが、健康社会を実現する上で大変重要だと思います。

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